昔は、物語も歌も、声を出して読んだと思われます。その物語や歌が書かれるようになったのは、千年以上前のことです。源氏物語などが活字になって書物になると、特に宮中の女性たちは夢中で読んだといわれています。更級日記の作者菅原孝標女も、源氏物語を夢中で読んだ一人として知られています。しかし、読めたのは一部の高貴な者たちだけで、庶民には物語や歌の書物は高嶺の花でした。それが、鎌倉時代つまり七百五十年前くらいになると変わってきます。平家物語の登場です。この平家物語は琵琶法師の語りによって多くの人々に広まったのでした。語りを聞くという読み聞かせの原点がここに誕生したのです。(続く)

 ことのは国語教室では、語り文学の一つである説話文学を国語学習に取り入れ、指導しています。人間や動物、鬼や妖怪などがいきいきと活躍する説話文学の世界を、国語学習を通じてご案内します。

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